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    就活前の自己分析や、働き出したあともキャリアの節目でどうぞ。自分のことは自分で知ろう!
  • 横山 哲夫: 個立の時代の人材育成
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Oli-Oliの記

  • 構造の美~エッフェル塔
    OLI OLI ~ ハワイではHappyという言う意味だとか。 「折々(おりおり)」に掛けてみました(おやじギャグなんだから全く・・・)。 街中、山中・・・・歩いて(食べて)気づいたこと、おもしろかったことを取り上げてみました。
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カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2011年1月16日 (日)

「Jリーグの行動科学」を読んでみました

ご紹介を受けて、「Jリーグの行動科学~リーダーシップとキャリアのための教訓」を読んでみました。

Jリーグの行動科学―リーダーシップとキャリアのための教訓 Jリーグの行動科学―リーダーシップとキャリアのための教訓

販売元:白桃書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

神戸大学大学院経営学研究科教授の高橋潔氏を編著者に、同氏のほか、Jリーガーでもあった佐藤慶明氏(大阪産業大学人間環境学部講師)と重野弘三郎氏(社団法人日本プロサッカーリーグHRディベロップメントグループ)、そして「リーダーシップ」「キャリア」の両面に造詣の深い金井壽宏・神戸大学大学院経営学研究科教授らの手によるこの本は、Jリーグ(あるいは日本サッカー界)を題材にした「リーダーシップ」と「キャリア」の本。引退した元プロサッカー選手へのヒアリング調査を中心にした分析で、現職Jリーガーはもちろんのこと、プロスポーツ選手やプロスポーツ選手を目指している人、さらには私たちビジネス・パーソンに「教訓」を提供しようという意欲作です。

前半は主にリーダーシップを、後半はキャリアをテーマに構成されています。
リーダーシップについては、まず「チームの勝利に貢献するものは何か」そして「選手のやる気を引き出すものは何か」を、試合中のデータや年俸などを重回帰分析等の統計的手法で検討しています。分析ではまず勝ち試合、負け試合にどのような要素が関与しているかを「身体能力(日本代表としての出場試合数)」「知的能力(学歴)」「インセンティブ(年俸)」「モティベーション(Jリーグ公式戦出場数)」「役割行動」「役割外行動」「公平性(警告カード数)」で検討しています。興味深いことに、実は年俸はそれほど(というかほとんど)勝ち試合には貢献していません。さらに個人の成果(出場回数や出場時間など)と年俸とを時系列で捉えると、前年の「試合出場時間」「勝ち試合出場時間」からの影響の方が強く、翌年の「試合出場時間」「勝ち試合出場時間」にはあまり結びついていないということも分かりました。つまり、年俸は意欲を駆り立てるモティベーション要因というよりはむしろ結果に対する報奨としての色彩の方が強いようです。逆の言い方をすると、高い年俸を約束しても実際に活躍できるかどうかは分からないということですね(当たり前といえば当たり前かもしれませんが)。

その出場時間は選手起用を決める監督の意志決定に左右されます。
そこで監督のリーダーシップがクローズアップされることとなるわけですが、本書では監督側の分析として「監督のタイプ」、そしてフォロワー側、つまり選手側の分析として「監督と選手との相性」の2つの面が取り上げられています。関心が持たれるのは、選手へのヒアリング調査を基にした「相性」についての考察で、相性をよくするための手がかりとして、認知的相性と情動的相性と2つの要素でとらえることを提起しています。両者が相まってマイナス方向に動き始めると、つまり「あの人と私は価値観や目標が合わない」(認知的相性のズレ)と「あの人と私はウマが合わない」(情動的相性のズレ)という負の連鎖が発生すると、出場の機会はますます訪れなくなり、選手生命も脅かされることとなります。筆者(この章の担当は滋賀大学経済学部講師の服部泰宏氏)はこうしたことを避ける方法として、選手自身が積極的なコミュニケーションをとることを提唱しています。特に比較的言語化しやすい認知的相性を改善することで負の連鎖の発生、進行を食い止めることができるとしており、またこのプロセス自体が適切な自己理解にもつながるとしています。

後半は、自分なりのキャリア目標を達成したトップ・アスリートがその座を離れ、これまでとは違う仕事、役割へと方向転換するまで、つまりキャリア・トランジションをテーマとしています。中でも「役割退出理論」に基づく20人に及ぶ元Jリーガーへのヒアリング調査結果の分析は、選手の内面の変化を詳しく捉えた優れた質的研究となっていると思います。この章の担当は現在、Jリーグキャリアサポートセンターの専任スタッフとして活動している重野弘三郎氏ですが、氏自身が元Jリーガーであり、キャリア・トランジションを経験しているだけに、ヒアリング対象者の本音がよく現れているのではないでしょうか。
「役割退出理論」とはH.R.F.イーボウが提唱しているもので「最初の疑問」「可能性の模索」「転換点」「新たな役割の獲得による以前の役割からの脱皮」の4つのプロセスで、ある特定の役割からの離脱、解放の過程を記述しようとするものです。ヒアリング調査の結果、こうしたプロセスを経ていることがJリーガーにおいても確認されたほか、プロ選手になる前、あるいはプロ選手になってから、自分の位置づけ、将来について疑問や不安を抱くことが、結果的に引退後のキャリア・トランジションによい影響を与えていることが示唆されました。このことは、「プロ選手であれば、活躍する自己像を固く信じ、その後のことなどについて不安を抱いたりすることなく自信を持って完全燃焼するものだろう」といった観戦者のある種の思い込みを揺るがすものであり、程度はあろうと思いますが、自分自身を客観的に見つめる目を持つことが必要であるという点で、私たち一般社会人とも共通するところがあると感じます。
Jリーガーのキャリア・トランジションに関するもう一つの分析は近畿大学経営学部准教授の小川千里氏によるもので、トランジションを成功させる要素として選手自身の「カレジャスネス」と、周囲の人の「アプローチャビリティー」を指摘しています。 前者のカレジャスネスとは「苦しみながらもあきらめないで粘り強く突き進む選手たちの『勇敢な心構え』」を指しており、クルンボルツの「計画された偶発性(Planned Happenstance)」の概念を引きながら、選手時代はどちらかというと自らの技量向上とプレーにばかり向けていた関心を、周囲に向け、積極的に人との接点を構築し、関わっていこうとすることの重要性を指摘しています。 それをより実現しやすくするのが後者の「アプローチャビリティー」です。トランジション後について職業情報をはじめとした様々な情報を持っていて(集約した情報)、また選手を親身になって受けとめられて(受容)、しかもいつでもコンタクトができて説得し続けてくれる関係が構築されており(継続性)、かつ秘密が厳守される(守秘)という4つの特性を備えた人(アプローチャビリティーの高い人)が選手の周囲に存在することの重要性を指摘しています。小川氏はこれら2つの要素は、Jリーガーらに限られたことではなく、若年層はもとより、中高年層などについても意義あるものとしています。

Jリーガーへのヒアリング調査を中心に、リーダーシップ、キャリアについて検討された本書は、それぞれの領域の第一人者である金井氏によるビジネスの世界への援用も含めた再整理でまとめられています。この部分は、Jリーグにおいての研究を整理するだけでなく自分自身の知識を整理する意味で役に立つでしょう。

ところで、金井氏が書かれているように「サッカー」は「野球」と対比されて、組織の在り方、そしてその中でのプレーヤーの考え方、動きなどが比喩的に取り上げられることが少なくありません。野球が攻撃の都度、監督から指示が出されるのに対して、サッカー(あるいはラグビー)はひとたびボールが動き始めると、後は選手のその場その場の瞬間的な判断に任せざるを得ないという違いがあるからです。その自立性の高さはどこからくるのか、うまく連携、機能するには選手(メンバー)に、そして組織としてどのような用件を整えておくことが必要なのか、そうしたことへの関心があるのです。そうしたこともあって、「Jリーグでの『リーダーシップ』と『キャリア』」といわれると、「試合はもとよりその前後も含めた監督のリーダーシップの在り方のこと?」あるいは「試合中に選手がいかにリーダーシップをシェアしあっているかということ?」とかに関心が向きますし、キャリアという面では、「フィールドに出て自立的にプレーする選手のキャリア意識は一般とどう違うの?」「チームに対するコミットメントとキャリア意識の関係は?」など、いろいろと思いつくのですが、残念ながらそうした内容は含まれていません。
リーダーシップについていえば監督の4つのタイプは示されているものの試案であって実在する監督に当てはめたり、それぞれのタイプがどのように効果を発揮するのか、あるいはしないのかの検証はなされていません(この章は佐藤慶明氏によるもの)。「タイプに分類して考察してみたが、それぞれに特徴が見られる。どのタイプが素晴らしく、どのタイプがダメなタイプなのかは一概には言えない」では、タイプに分けた意味がないのではないでしょうか?
さらに冒頭にある統計的な分析の試みついても、野球と違ってサッカーについては検討可能なデータが少ないと前置きしてあるものの、「マネーボール」(データ分析により選手獲得資金の乏しい弱小チームを、カネにモノを言わせて選手補強をするチームをしのぐほどに育成させたアメリカプロ野球チームの監督の実話)を引き合いに出すのであれば、サッカーの試合において評価可能な指標としてどのようなものを検討してみるとよいのかというところまで述べてあるとおもしろいのではないかと思われます。先のワールドカップでの長友選手のようなDFながら果敢にゴール前に顔を出す驚異的な運動量、あるいは先日のアジアカップ、シリア戦で長谷部選手の先制ゴールのきっかけとなった本田選手のように敵DFをうまく引きつけてゴール前にスペースを作ろうとするFWが献身的な動きなど、ボールそのものに絡まない部分や自己犠牲的な動きをいかにくみ取るか。そうした部分が難しいとこの章担当の高橋氏は述べられていますが、研究領域である「人事評価」の知見を活かして何らかの示唆があると充実したものになったのではないでしょうか?

またキャリアについては、トランジションについての検討がほとんどです。
「プレーとキャリア意識(特に内的キャリア)との関係」だとか「プロ選手になると決めたきっかけやその時期」などは取り上げられていません。 また、トランジションを支援するカレジャスネスとアプローチャビリティーが必要というのはまさにその通りなのですが、このことはJリーガーに特有ということではないように思われます。特にアプローチャビリティーについていえば、引きこもり若年者に対する支援として効果を上げているアウトリーチでも同様の傾向がみられます。Jリーガー研究を教訓とするというよりはむしろ、こうした考え方がプロ・アスリートについてもいえそうだということの意味の方が強いのではないでしょうか?
これとは別にJリーガーがピッチを去るということをキューブラ・ロスの死に臨む5つのプロセスを用いて説明するという試みがなされていますが、これには行き過ぎ感があります。プロ・アスリートにとってはそれほどまでに強烈な出来事であるということなのかもしれません。果敢な挑戦であると思いますが、その後のない「死」と、続きのあるキャリア・トランジションとを同列に扱うことは妥当でしょうか?

金井氏は「読後も継続して考え学び続け、熟達してほしいことが、かなりあるように思われる。それをどのように導き出すのかは、読者一人ひとりの読後の課題であり、経験と感性によって、本書から引き出される教訓は違ってくる」と書いていらっしゃるので、「あんまり得ることがありませんでした」というと「それはあなたの考えが及んでないからでは?」といわれてしまいそうなのですが、分析に用いられている理論や考え方は実は一般社会人で用いられているものが多く、Jリーグで得られた知見を一般化してビジネス・パーソンに役立てるというよりは、プロ・アスリートでも一般社会人と同様のことが言えそうですねぇというのが話の流れとしては適切なような感じがします。「教訓」として本書が役に立つのはプロ・アスリートまたはそれを目指している方々の方が多いのではないかと思います。

とはいえ、白桃書房のハードカバーというと「学術書」としてちょっと腰が引けそうな感じですが、本書は大変読みやすく、なかでも重野氏の「第5章プロサッカー選手のセカンド・キャリア到達過程」はJリーガーの心の動きが赤裸々に描かれていてとても興味深いものとなっています。この続編が待たれるところです。

2009年10月 5日 (月)

なぜキャリア開発か? その答えの一つ

近年注目されている、仕事と生活のバランスだけがわれわれのもとめていることのすべてではありません。社員に、自分の真の才能は何なのか、そして自分がやりたいことは何かを見つけることができるように、そのための余裕と機会を与えてあげることです。そうすれば、社員の個人的な抱負を会社の目標と合致することができ、それによって、自然にバランスはとれてきます。社員がひとたびやりがいを感じ、活気づいて、生産的になると、彼らの活動が自ずと会社に利益と成長をもたらすことになるのです。

「奇跡の経営」(リカルド・セムラー、総合法令、2006)より。

奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ 奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ

著者:リカルド・セムラー
販売元:総合法令出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ね、
セムラー氏の会社、父親から受け継いだとき400万ドルの売上高だったのが今や2億1200万ドル、その間従業員は90人だったのが3000人だそうですよ。約1.6倍の生産性ですよね売上ベースですが。
キャリア開発は「経営に効くんです」。

2009年7月 1日 (水)

学び続けることが大事なんだよ

浦沢直樹さんらの手による「Master キートン」というコミックスがあります。
アニメ化もされています。
この作品、とても好きなのですが、なんとyoutubeでアニメ版を発見
(う~ん、著作権は‥‥‥)

この中のepisode5「屋根の下の巴里」はお勧めしたいものの一つです。

MASTERキートン File3 [DVD] MASTERキートン File3 [DVD]

販売元:バップ
発売日:1999/12/22
Amazon.co.jpで詳細を確認する

youtubeだと
http://www.youtube.com/watch?v=_DZ07xgpNsM

コミックスは絶版なのだそうで‥‥‥
もったいないなぁ‥‥‥

この「屋根の下の巴里」のPoint!
それは我々はなぜ学ぶのか、ということにあります。

なぜ学ぶのか、それは私たちが個人としてよりよく生きていくためだけでなく
よりよい社会であろうとするためでのあるわけです。

逆に、社会を崩壊させるには、暴力だとかではなく
学ばなくなるほどの享楽、快楽が蔓延するだけでよいのかもしれません。
そう考えると、あまりに低俗、稚拙なテレビ番組が、
人気があるから、広告がつくからといって蔓延することって、どうなんでしょうね。

昔、あまりにひどい番組だと、スポンサー企業に対する不買運動があったりしましたねぇ。
こういう、市民自身のチェック機能が機能するのも、「意識する」ということができるから。
「何をムキになっているんだか」
「いいじゃないの面白ければ」
みたいな風潮が広がれば、どんどん飼い慣らされて、気がついたときには‥‥
ぶるぶる‥‥‥

2008年9月27日 (土)

ライフ・トランジション

ソウルオリンピックのシンクロナイズド・スイミング銅メダリストである田中・ウエルヴェ・京さんが引退後に経験した自身の「トランジション体験」を交えながら人生上の転機=ライフ・トランジションを乗り越えるためのメンタル・スキルを説明したのがこの本。

 ライフ・トランジション メンタルスキルで人生の転機を乗り越える ライフ・トランジション メンタルスキルで人生の転機を乗り越える
販売元:TSUTAYA online
TSUTAYA onlineで詳細を確認する

スポーツ心理学の成果を生かしたもので、事例(これはアスリートではなくて一般の人)とそれに対する著者自身のコメントを付しながら、「セルフ・アウェアネス」「ゴール・セッティング」「セルフ・トーク」「ネガティブを受容するポジティブ・シンキング」「感情のコントロール・スキル」「コミュニケーションスキル」「集中力」の8つのメンタル・スキルを説明しています。それぞれにテストがついていますから、自己チェックもできるようになっています。

ところで、メンタル・スキルとは? この本の中では、「精神力」と括弧書きされていることもありますが、「喪失感のを乗り越え、新たな自己発見とその人生の第一歩を踏み出すため」に必要なスキルのことを指しているようです。そうした局面には強い精神力が必要とされるけれども、これまで言われていたような「精神的に強い=めげない、諦めない、根性第一!」とは異なる、また「『ポジティブ・シンキング』という物事を単に良く考えていくという発想でもない」、精神的なタフさが必要であり、そこで役立つのがメンタル・スキル、ということのようです。

著者自身の経験とスポーツ心理学に裏付けされていると言うことなのでしょうから、相応のものだと思うのですけれど、ちょっと深掘りが足りないような‥‥‥。それぞれにセルフ・チェックが出来るようになってはいますが、じゃぁどうやってそのスキルを獲得できるのかということになると明解な回答はありません。

また気になるのは、ライフ・トランジションという長いスパンで捉えているだけあって「キャリア」という言葉が出てくるのですが、その捉え方。「職業」そのものを指すのではないとしながらも、「あなたが仕事をしていく中で。いつも自分に対して価値を感じることができ、自己達成感を感じ、自己実現を感じられるのなら、それは素晴らしい天職であり、まさに、その仕事はあなたにとっての正しい『キャリア』なのだと思います」「今のあなたの仕事がもしも『自己実現を可能にさせるキャリア』ではなく、『単にお金を稼ぐためのジョブ』としか感じられないのなら‥‥」というように、自己実現に結びついているかいないかの違いはあるものの、結局は「仕事」ととらえているということが、個人的には引っかかります。

あえて言うなら、このほかにも中年期の問題など人生上のトランジションについて網羅的に取り上げられてはいるものの、今日的に言われているような見解が付されているだけで、それぞれの課題認識については著者ならでは、あるいはスポーツ心理学の見地からの深掘りがあるというわけではありません。ライフ・トランジションという大きなテーマを取り上げているのだけれども、ちょっと通り一遍で、かつ何だかスキルの紹介に走りすぎではないかなぁ‥‥と。

2008年9月17日 (水)

ミッキーマウスの憂鬱

移動中に読む本がなくなったので、たまたま通りかかった本屋で購入したのがこれ。

ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫 ま 34-1) ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫 ま 34-1)

著者:松岡 圭祐
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

なにこれ?と思ってぱらぱらとページをめくると舞浜にある「某ねずみの王国」の暴露本?みたいな感じなのですが、いやいや、あくまでもフィクション(らしい)。
しかしながら、「何で働くの?」の一つの「コタエ」がここにもあります。
ねずみの王国、この年になっても好きなもんだから、年に一度は行くんですけれど、キャストの方々って本当に楽しそうに働いていますよね。その笑顔の下にあるものは、こういうことだったのかもしれないな、と、思ったのでありました。
3時間ほどで読めますので、ぜひどうぞ。
そうそう著者の松岡圭祐さんて、例の「千里眼シリーズ」の人です。うんうん、そうだろうねぇという感じでもあります。参考まで・・・(参考になっていない?)

追記

とはいえ、ここに出てくるような「正社員」がいたら、その会社はかなり問題状況を抱えているといってよいでしょうね。ネタバレになるかもしれませんが、専務ちゃん、笑っている場合ではないですよ‥‥‥。

2008年5月13日 (火)

「はたらきたい。」~ほぼ日の就職論

出版と同時に買っていましたが、ようやく読むことができました。読み始めるとあっという間・・

ほぼ日刊イトイ新聞で連載された対談をまとめたものです。対談の内容そのものもよいのですが、その一言一言のもつ「メッセージ性」に注目したいところです。「おつ!」と思った一文を手帳に書き留めておいたらどうでしょう?(その手帳ってば、やっぱりほぼ日手帳?)

読んでいて思ったのですが、そういうメッセージ性のあるもの、というか言葉一つひとつに力を持っているのって、組織人ではなく個人で仕事している方の方に多いような気がします。組織人としては河野晴樹さんや金井壽宏先生です。当然一言一言に含蓄はあるし、なるほど、そりゃそうだというのは当然あるんです。しかし、矢沢永吉さんやしりあがり寿さんとの対談のほうに「おっ!」とか「う~ん」とかというのは多いんですよね。

たとえていうなら、前者は「そうそう。ここアンダーラインね」という感じで、後者は思わずページの端を折って、しかもキーワードをぐるっと囲んでおいて、余白に感想書いてしまうような感じでしょうか・・・。

「だから、歌やステージをつくっている矢沢、新聞や情報をつくってる糸井、のみならず、タイムカード押してお勤めして、企業の中の一つの力として頑張っている人、その人なりのスタンスって、僕は、たくさんあると思うよ。行き着くところ、どんな職種だって、やらされてる、働かされてると思ってだらだら気分悪くやってるのと、これ、俺のテリトリーなんだと思ってプライド持ってやるのとでは、全然違うからね」(矢沢永吉さん)

「『やりたいこと』と『やってみたいこと』は意味が違うんですよ」(ピエール瀧さん)

なんかが気になっています。でも、多分読むごとに違うところに反応しそうですけど。

というわけで、学生の方にも、既に働いている方にもお勧めです。

追記

個人的に感動したのは、矢沢永吉さんが息子さんの大学の入学式に出たときの下りかなぁ・・・

はたらきたい。

著者:ほぼ日刊イトイ新聞

はたらきたい。

2008年5月11日 (日)

では、日本はどうなのか?(昨日に続く)

昨日「ルポ 貧困大国アメリカ」をご紹介しました。では日本は? と思うと「反貧困 すべり台社会からの脱出」(湯浅誠、岩波新書)が参考になるのではないかと思います。順番からいっても、先に貧困大国アメリカを読んでから反貧困を読んだ方が、「このまま行くとどうなる?」というところのリアリティがあってよいかと思います。

「反貧困」の方でも「食べていけないのは自己責任」「あまり保護を厚くしすぎるとかえって元に戻ろうとしなくなるのでは?」といった見方に対して、「いえいえ、もうそんな段階ではないのですよ」という感じで現実が指摘されています。簡単にいうと、同じ土俵の上で勝負しているんであれば、本人の自己責任ということもいえるかもしれないけれど、もはや一度土俵から落ちてしまうと、もう二度とあがれなくなってしまっていて、なのに「あがってこい! あがってこないのもあなたの責任」といっているかのような状況になっているのです。

湯浅氏は「5つの排除」を挙げています。新自由主義、小さな政府のかけ声の下、3つのセーフティネット「雇用のネット」「社会保険のネット」「公的扶助のネット」が機能しなくなると同時に、これから漏れ、貧困に至る間に、「教育課程からの排除」(これは親世代の影響も強いです)、「企業福祉からの排除」(会社に所属していないと社会保険が受けられないです)、「家族福祉からの排除」(身寄りがいなくなったり、頼りにできなくなったり・・)、「公的福祉からの排除」(生活保護を受けられない。受給を絞っていますから)、そして「自分自身からの排除」(もう何をやってもダメだから・・という諦め)をうけ、すべり台を滑り落ちてしまうのです。そうなる前になんとかすればよいのに!と、つい思ってしまいがちですが、湯浅氏の経験からいうと、こうした貧困層に至る方の多くは「人に頼ってはいけない。自分できちんとやらなければ」と思うからこそ、どんどんまずい方向にいってしまうのだそうです。早いうちに「あ~もうダメ~」とシグナルを出せていれば、すむところをなくす前に、あるいは多重債務に陥る前になんとかできるのに、そうしたシグナルを出さないので、しなくていい借金をし、払わなくてよい利息まで払おうとしてますます状況が悪化するのです。

この滑り落ちる速度に関わるのが、その人に「溜め」があるかどうか。余裕、といっても良いかもしれませんが、金銭的な余裕だけでなく、心理的な余裕なども含みます。相談できるネットワークがあるかどうかも含まれます。溜めがある人はちょっとうまく行かなくなっても例えば貯金を取り崩すとか、貯金がなくてもだれかに相談にいってみるだとか、調べてみるだとかということができます。でも溜がないと今日何を食べればよいのか? 面接を受けに行きたいけれど電話がないし、交通費もないし・・・ということになってしまいます。

支援をする際にもこの「溜め」がキーワードとなってきます。この人にはどのくらいの溜めがあるのかないのか、という状況に合わせた支援が必要なのであって、一律に支援をすればよいというわけではないわけです。

こうした詳しいことは是非読んでいただくとして、やはり大切なのは、何でも市場原理に任せればよいというわけではない、ということ。

そしてもっと大切なのは、私たちはきちんと現実を見ているわけではないということに気付くことです。例えば生活保護にしても、不正に受けている人がいるとか、財源を確保するには増税か? みたいな話になると、ついつい、ちょっと待てよ、自己責任だろう?といいたくなってしまいますが、それらはたとえ事実であってもそんなに簡単な話ではないわけです。必要があって生活保護を受けている人もいれば、「そんなことで他人様に迷惑をかけられないから」と受給を辞退する人もいるわけです。そうした一つひとつの事実にも目を向けて考える必要があろうと思うわけです。マスコミ情報、官の発表を鵜呑みにしちゃぁいかんですよ。

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書 新赤版 1124)

著者:湯浅 誠

2008年5月10日 (土)

市場原理もほどほどに・・・「ルポ 貧困大国アメリカ」

岩波新書「ルポ 貧困大国アメリカ」がお勧めです。

新自由主義、というんでしょうか、いわゆる「市場原理」というやつをどんどん推し進めていくとこんな感じになる可能性があります、ということをアメリカ合衆国が見せてくれています。ルポルタージュですから著者である堤未果さんの見方ということになるのですけれど、もう驚くことばかり。

例えば米国は国民皆保険制度をとっている日本と違って、医療保険は自分で保険会社と契約しなければなりません。日本だと会社勤めをしていると社会保険だの健康保険組合だのにほぼ強制的に入ることになっていて、給与から天引きされますね。あれがないのですよ、米国は。福利厚生制度の一環として採り入れている会社の中で、一定以上の役職者だけが対象になっていることが多いのです。そうあくまでもオプション。だから病気やけがをすると医療費がどどんと10割負担なんです(日本は3割負担ね)。

しかも医療費が高い!この本でみると、盲腸の手術で入院するとニューヨークでは1日入院して243万円。1日ですよ! ロサンゼルスは1日で194万円。日本は手術代として6420点(64200円)。4、5日入院しても本人負担は入院費総額で30万円くらいだとか。

ちなみに1日なのは、それ以上長くいると高くなる一方だし、政策として入院期間に拘わらず診療報酬が決まっているので、病院としては「できるだけ早く出ていって欲しい」ため短くなるそうです。盲腸の入院はどうか分からないけれど、完治してからではなく、点滴しながらでも退院を迫られるそうです。これも「民営化」して市場原理を導入した結果だそうですよ。

おちおち病気になんてなっていられないという程度ではありませんね。243万円もかかったら、あっという間に生活が破綻しますよ。

また教育面でも民営化、市場原理導入の「成果」がでているそうです。日本でも問題になっていますが、親の所得によって子どもの受けられる教育水準が変わってしまうというもの。奨学金制度が圧縮されていて、なかなか大学に行けない。

しかもそこに援助の手をさしのべるのが軍隊。アメリカも日本と同じように徴兵制ではなくて志願制を採用していますから、なかなか確保が大変。そのような事情ですから「入隊すれば、その間にいろんな勉強もできるし資格も取れる。大学の授業料も支援する」みたいなことをいって入隊を促すのだそうです。しかも、それが巧妙に仕組まれていて、結局は大学に行けなかったり、学費が足りなかったりするという、せこい面もあるとか。

サブプライムローン問題のことにも触れています。払えないようなのに借金までして家を持つからだと・・みたいな反応もあるようですが、もともとクレジットカードも持てないような所得水準の人にまでお金を貸していたのですし、移民の方も多く、われわれもそうですが目がチカチカするような契約書を、ぱぱっと見せられて、「はい契約。大丈夫ですよ、家は値上がりしますから」みたいな感じでやっていたのですから、貸し手の方にも責任はあるんじゃないの? とも思うわけです。

このルポルタージュ、とても読みやすい文章です。市場原理が行きすぎたらどうなるのか? 先行事例を是非研究しておきましょう。

役所がひどいから民営化・・・そんな単純な話ではないですよ。

ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)

著者:堤 未果

ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)

2008年5月 1日 (木)

街場の現代思想~お薦めの文庫

街場の現代思想という本が書店でおいでおいでしていました。「『おじさん』的思考」の著者である内田樹(うちだ・たつる)氏の新しい文庫本です。

「おじさん」的思考もそうだったんですけれど、独特の視点で世の中を捉え直し、それをまた独特の持って回った言い回しで説いているのがとてもおもしろい!

街場の現代思想で繰り返し説かれるのは、人間はなにゆえ人間であるのかというと「他者=不快な隣人=と共生する能力があるから」とうところ。結婚はその力を養う上での最大の装置なのだそうだ。そっか、そうだよな~(うちの連れ合いさん、読んでないだろうな・・・。そうそう、この連れ合いさんというのは大学の部活の先輩に教えてもらいました。配偶者のことを呼ぶのに、何度か使っていると何となくしっくりした感じになってきました)。

逆に「自分のことを理解してくれる人たちだけに囲まれて暮らしたい」というのは「私は人間を止めたい」「私はサルになりたい」といっていることに等しいことになる・・・と。

奥深いではありませんか。なぜこれほどまでに人間にはコミュニケーションの道具が備わっているのか(能力というとちょっとなぁ・・と思うので、ここでは道具)というと、それは「他者と共生していく」ためなんですね。

このほかに、前半では「文化資本」という概念を用いた、読んでみると、もう身も蓋もないようなとほほな気分になる、「負け組」の話。これも一読の価値有りです。説明しちゃうと面白さが半減してしまうので・・・

街場の現代思想 (文春文庫 (う19-3))

著者:内田 樹

2008年1月24日 (木)

ユングがこんなことを言っているそうです

昨日の本を買ったところで「父親の力 母親の力」という本も買いました。河合隼雄さんの本ですね。副題は「『イエ』を出て『家』に帰る」です。最近、父親としてのアイデンティティが揺らいでいるのでつい・・・。

それはそうとして、ここでおもしろい話が・・・。

ユングさんはこんなことを言っているそうです。

「旅行に出て、行く先のことが分からないときには、とても不安になる。われわれの人生の旅において、終着駅がどうなっているかは分からないのだから、人間が不安になるのは当然だろう」

ほんとに・・・。

最終の終着駅はどうなるか分からないから、分かる範囲で自分なりの終着駅(の1つ手前?)を作ってみる作業というのが、キャリアゴールを考える作業かもしれません。

父親の力母親の力 父親の力母親の力
販売元:TSUTAYA online
TSUTAYA onlineで詳細を確認する

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